東京都の有識者会議で月面探査車「YAOKI」を紹介

小池百合子都知事と活発に意見交換

株式会社ダイモンは、2026年7月13日、東京都庁第一本庁舎で開催された「令和8年度第1回 東京の中小企業振興を考える有識者会議」に参加しました。

当日は、当社代表取締役CEO兼CTOの中島紳一郎がプレゼンテーターとして登壇し、月面探査車「YAOKI」の開発経緯、2025年に実施した月面ミッション、今後の月面探査構想、月面技術を地上産業へ応用する取り組みについて紹介しました。

会議には、小池百合子東京都知事をはじめ、中小企業経営、ものづくり、産業振興、学術研究などの分野で活躍する有識者の皆様が出席しました。プレゼンテーション後には、会場に持ち込んだYAOKIの実機を囲み、小池都知事や委員の皆様との活発な質疑応答が行われました。

東京都の有識者会議でプレゼンテーションを行う中島紳一郎

月面に到達した「YAOKI」を紹介

プレゼンテーションでは、YAOKIが2025年3月、米国の月着陸ミッションに搭載され、月面に到達したことを報告しました。

着陸船は月面着陸時に傾いた状態となりましたが、YAOKIは搭載カメラを通じて月面およびクレーターの撮影に成功しました。YAOKIは現在も月面にあり、将来、再び稼働できる機会に備えています。

「YAOKI」という名称は、「七転び八起き」に由来しています。上下対称に近い独自の車体形状により、転倒しても走行できることが大きな特徴です。

また、重量約0.5キログラムという小型・軽量設計でありながら、高い耐衝撃性と走破性を備えています。宇宙への輸送費用は重量に大きく左右されるため、ダイモンでは、わずか数グラム単位の軽量化を積み重ねてきました。

中島は、10年以上にわたる開発の中で、小型二輪の月面探査車という構想について、多くの専門家から否定的な意見を受けたことにも言及しました。それでも、自らの発想を信じて技術開発を続けた結果、YAOKIの月面到達を実現しました。

月面輸送用コンテナと月面探査車YAOKIの構造を説明する様子

「月のGoogleマップ」の実現を目指して

ダイモンは、YAOKIによる月面探査を一度限りのミッションとは考えていません。

今後は、水などの資源を調査するためのセンサー、複数の探査車が連携する通信技術、月面における自己位置認識技術、月面での充電技術などを段階的に開発していく計画です。

将来的には、100機規模のYAOKIを月面に送り、複数の探査車による群探査を通じて、広範囲の月面データを収集・蓄積することを目指しています。中島は、この構想を分かりやすく「月のGoogleマップをつくる」と表現しました。

さらに、地球にいながら月面のYAOKIを遠隔操作し、誰もが月面旅行を疑似体験できる「YAOKIアバター」の構想も紹介しました。将来は子どもたちにも月面探査車の操縦機会を提供し、宇宙をより身近に感じてもらいたいと考えています。

小池都知事との活発な質疑応答

プレゼンテーション後、小池都知事からは、宇宙という新たな市場に挑戦するダイモンの取り組みについて、「夢のある話と、とても現実的な話の両方を聞くことができた」とのコメントをいただきました。

月面探査という大きな構想に加え、宇宙技術を地上のインフラ点検に応用する事業にも関心をお寄せいただきました。

その後は、YAOKIの実機を動かしながら、次のようなテーマについて活発な質疑応答が行われました。

  • YAOKIの電源と月面での稼働時間
  • 地球から月面探査車を遠隔操作する方法
  • 月面で転倒した場合の姿勢復帰
  • 長期間の探査を実現するための充電技術
  • 重量と宇宙輸送費の関係
  • 小型・軽量化のために10年以上を費やした開発過程

中島は、実際の月面ミッションでは米国ヒューストンから遠隔操作を行ったことや、月の重力が地球の約6分の1であるため、車体のバウンドや車輪の動きを利用して姿勢を変えられることなどを説明しました。

また、長期的な月面探査を実現するため、月面でYAOKIを充電するシステムの開発を進めていることも紹介しました。

プレゼンテーション後、出席者の皆様と意見交換を行う様子

東京都の支援とともに進めてきた技術開発

ダイモンはこれまで、東京都および公益財団法人東京都中小企業振興公社から、表彰、助成、研究開発支援、事業化支援など、さまざまな形で多くのご支援をいただいてきました。

少人数の研究開発型企業にとって、長期間と多額の費用を要する宇宙技術の開発を継続することは、決して容易ではありません。東京都および関係機関からの継続的な支援は、YAOKIの月面到達と、その技術を地上の課題解決へ展開していくうえで、大きな力となっています。

東京都ベンチャー技術大賞 大賞

2022年、月面探査車YAOKIは「令和4年度東京都ベンチャー技術大賞」の大賞を受賞しました。小池都知事から表彰いただいたこの受賞は、ダイモンの技術が広く評価される大きな契機となりました。

令和4年度 東京都ベンチャー技術大賞 受賞者一覧

天井裏点検ロボットの開発支援

2023年度には、東京都中小企業振興公社の「TOKYO地域資源等を活用したイノベーション創出事業」に採択されました。

本事業では、YAOKIで培った小型ロボット技術や高い走破性を応用し、人が入りにくいビルの天井裏を調査する点検ロボットの開発を進めています。

月面という極限環境のために開発した技術を、東京都内でも課題となっている建物の老朽化、点検作業者の不足、安全性の向上といった地上の課題解決につなげる取り組みです。

ダイモン公式ニュース:月面探査技術を応用した天井裏点検ロボットの開発

次世代月面探査車の開発支援

2026年2月には、「資源探査と自己位置認定が可能な複数機連携式月面探査車の開発」が、東京都および東京都中小企業振興公社の「宇宙製品等開発経費助成」の支援対象事業に決定しました。

本事業を通じて、資源探査センサー、自己位置認識、複数機の連携、通信や充電など、次回以降の月面探査に必要となる技術の開発を進めています。

東京都報道発表:宇宙製品等開発経費助成 支援対象事業決定

東京ベンチャー企業選手権2024「きらぼし賞」

また、東京都および内閣府が後援する「東京ベンチャー企業選手権大会2024」では、「きらぼし賞」を受賞しました。

ダイモン公式ニュース:東京ベンチャー企業選手権大会2024「きらぼし賞」受賞

今回のプレゼンテーションでは、これまでいただいてきた多くのご支援への感謝をお伝えするとともに、技術や特許を中小企業の重要な資産として適切に評価する仕組みや、研究開発型企業の拠点確保に対する支援の重要性についても提言しました。

月面技術を地上のインフラ課題へ

ダイモンは、月面探査だけでなく、月面輸送用コンテナや地上のインフラ点検ロボットの開発にも取り組んでいます。

ビルの老朽化や点検作業者の不足が課題となる中、人が入りにくい天井裏をロボットが走行し、設備や構造物の状態を調査することで、安全性と作業効率の向上を目指しています。

月面では小型・軽量化が最優先となる一方、地上の点検ロボットには、障害物の多い環境を確実に走行する性能が求められます。ダイモンでは、月面技術をそのまま転用するのではなく、それぞれの使用環境に合わせて設計を最適化しています。

宇宙と地上の双方で新しい価値を創出

ダイモンは今後も、月面探査、月面輸送用コンテナ、地上点検ロボットを中心とする事業を通じて、宇宙と地上の双方で新しい価値を生み出してまいります。

また、子どもたちをはじめ、より多くの人々が宇宙を身近に感じ、月面探査に参加できる未来の実現に向けて、YAOKIのさらなる進化と次回の月面ミッションの準備を進めてまいります。

東京都および関係機関の皆様から、これまでいただいてきた多くのご支援に、改めて心より御礼申し上げます。

会議映像

執筆者プロフィール

広報担当広報・マーケティング担当