植松努氏と中島紳一郎の対談をYouTubeで配信しました

2021年5月26日、今年最大のスーパームーンと皆既月食に合わせて、植松努氏と中島紳一郎による「月を見上げて、夢を語ろう、夢を実現しよう」スペシャルトークショーを開催しました。

夢を思い、実現しているふたりの共通点である「月」や「宇宙」をテーマに、お酒を飲みながら和やかなムードでの対談でした。本記事では、内容を一部抜粋してお届けするとともに、アーカイブ動画を閲覧いただけます。

イベント概要

イベント名植松努と中島紳一郎のスペシャルトークショー
「月を見上げて、夢を語ろう、夢を実現しよう」
日時2021年5月26日(水曜日) 19:30~21:00
*部分食の始まり18:44頃、皆既食20:09頃~20:28頃(食の最大20:18頃)、
部分食の終わり21:53頃
スピーカー植松努 氏(株式会社植松電機 代表取締役)
中島紳一郎(株式会社ダイモン 代表取締役&ロボットクリエーター)
ほか、月や宇宙に関するスペシャルゲスト参加予定。
主催株式会社植松電機、株式会社ダイモン
協賛一般社団法人ABLab
株式会社アストロコネクト
参加費無料

トーク・ダイジェスト

対談の内容を一部抜粋してダイジェストでお届けします。

月面の重力を模した実験環境が準備できた!

中島

植松電機さんの協力のもと、月の重力を模した環境での実験を行おうとしてます。

今日は実験環境ができて、1/6重力を再現できた。YAOKIで実験できる状態が整ったという状況です。

植松さん

YAOKIのサイズだから実験できたよね。
もし1平方メートルのサイズだったら、1/6重力で走行できる環境を構築するとなるとそれは大変ですよ。

視聴者からの質問コメント

1/6重力の実現はコスモトーレ(※)で通常よりゆっくりカプセルを落下させてでしょうか?それとも電磁力制御?

(※)コスモトーレとは、植松電機社の微小重力実験設備です。カプセルを高さ50mから落下させることで、カプセルの中に数秒間の微小重力環境を作り出すことができます。

中島

良い質問ですね!

植松さん

最初はパラシュートを試しました。

実際やってみたら、1/6重力になる時間もあるけど、そうじゃない時間もある。それは良くないと思って、別のやり方を考えた。それで安定して1/6重力を出せるようになりました。

滑車を利用してちょっと工夫したやり方ですね。うちの会社の子が頑張って作ってくれました。

中島

ひらめきですね!

AIは妄想ができない

中島

YAOKIは将来的にはAIで自動運転にすることを考えてます。
AIというと、人の仕事がいらなくなるとか、AIに人が支配されるとかという話もありますが、植松さんはAIについてどのように考えていますか?

植松さん

AIは頭良いかもしれないけど、過去データに基づいた対処しかできない。人間のように空想や妄想ができないからね、そんなに怖くはないなと思います。

でも、パターンを認識させれば、それは人間よりも忠実に仕事をしてくれる。今、お掃除ロボットが流行ってるけど、それの探査機版があるといいよね。

中島

まさにYAOKIも多数のYAOKIに郡探査させてGoogleマップの月面版のようなこともできると考えてます。

やったことがない人は、できない理由を教えてくれる

中島

今日はYAOKIが1/6重力で、実際に走行した記念すべき日。

「こんな小さいものが月面で走れるわけがない」とずっと言われてきた。10年間、無理だと言われ続けてきたけど、へこたれずにやってきて、今日、できることが証明できた。

「できない」と言うのは、少なくともその人はやったことがないからですよね。

植松さん

その通りですね。

やったことがない人は、できない理由を教えてくれる。やったことがある人や、今やってる人と仲良くすることです。

僕らも人工衛星を作るときに散々言われた。「そんなもん、宇宙で動かないよ」って。

でもね、動いたよ。

ギザギザなままでいい

植松さん

植松電機では専門学校の授業も始めたんです。そこには好きで選んだ子たちが集まってるから、めちゃくちゃ吸収力がすごい。

好きなことには夢中になるけど、そうでないことは身が入らないという子もいるかもしれないし、そういう子たちはもしかしたら一般的な学校の授業は苦手かもしれない。

でも、実際の仕事では専門分野を極めていくわけだから、全く問題ないんです。むしろ社会に出ると、全部のことに普通に対応できる必要はあまりない。かなり偏っていても、補い合えれば良いわけだからね。

中島

そうですね。僕もそれで良いと思います。

確かに、偏っているだけでは孤独もあるかもしれないけど、補い合える関係性を作れることが大切ですよね。

植松さん

昔、「社会の歯車」っていう言葉があったけど、僕はそれも悪くないんじゃないかと思います。

今の学校教育はツルツルの玉を作ってるように感じてしまうんです。玉だと(他者と)かみ合わないですよね。ギザギザの方がかみ合う。

僕は、ギザギザを取らないで欲しいなと思います。

YAOKIが月に行ったら

植松さん

YAOKIが月に行ったら、宇宙を好きになる子がもっと増えるだろうね。そしてその子達が、10年後にもっと良い社会を作ってくれる。

だから今、子供たちにYAOKIをたくさん触らせて遊ばせてあげてる活動は本当に素晴らしいと思うんです。キットにして売ったほうが良いですよ(笑)

子供たちが買える値段でね。

中島

実はそういう企画も今検討中です!

植松さん

植松電機のスペースプローブコンテストも今度ローバー部門ができますので、参加してもらえれば嬉しいですね。

最後に、皆さんへのメッセージ

中島

ありきたりな言葉ではあるけど、「夢を見る」ということを皆さんも考え直してみてほしいなと思います。

自分も馬鹿にされたりもしたけど、やればできた。夢は、止めることができないもの。人間にとって、夢を見るというのはすごく大切なことです。

植松さん

宇宙って、本当に素敵な場所。夢もロマンもある。だから頑張れるのかなという気がします。

夢は「Will」、つまり「意志」です。「夢がありません」という状態は「意志がありません」という状態。自分で考えて自分で動くことです。してもらう夢とか与えられる夢ではなくて、自分で前に行く夢が大事だと思います。

中島さんも月に行く探査車を研究してるし、これからまだまだ発展して、色々な分野で活躍する人がいてくれたら良いなと思う。僕たちの力は小さいから、仲間も必要なので、皆で一緒に力を合わせてやっていけたらなと思います。

アーカイブ動画のご案内

当日の動画をYouTubeでいつでも閲覧いただけます。残念ながら「月」をお届けすることは叶いませんでしたが、ぜひお二人の生の声を感じてみてください。

執筆者プロフィール

伊藤 真之
伊藤 真之広報・マーケティング担当
IT業界出身のマーケター。マーケティングのスペシャリストとして独立後、2021年2月からProject YAOKIの広報・マーケティングを担当しております。中島さんとの出会いはABLab。