月面探査車「YAOKI」開発者の中島が描く、YAOKIのビジョン

月面ロボYAOKI

こんにちは、月面探査車「YAOKI」の生みの親、ダイモン代表の中島です。

アメリカを中心に進んでいた月面開発のビジネス参入が、いよいよ日本にも波及して動き始めています。先日、日経新聞では「日の丸 月に行く」と題し、全5回(2021年6月7日~11日)の特集が組まれました。内容として、高精度着陸(JAXA)、有人探査(トヨタ自動車)、テント住居(東京理科大学)、月保険(三井住友海上火災保険)、そして小型探査車(ダイモン)が取り上げられています。その第4回目で、私たちの月面探査プロジェクト「Project YAOKI」も紹介されています。まさにこれから始まる新しい月面開発時代において、私たちの挑戦も大きな役割を果たしていくのです。

日本経済新聞 Nextストーリー「日の丸 月へ行く」全5回
https://r.nikkei.com/stories/topic_story_21052100

第4回「ミニカーの群れで月面探査 脱サラ技術者の挑戦」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC215DP0R20C21A5000000/

今回は、「Project YAOKI」の果たす役割、可能性、そしてその意味について、代表の私からも簡単にお伝えしたいと思います。

過酷な月面開発

米国NASAは、再び人類を月に送る「アルテミス計画」を発表しています。その先陣として、民間月輸送サービス(CLPS: Commercial Lunar Payload Service)があり、私たちの月面探査車YAOKIは、その最終工程の探査を担います。

そしてNASAは、2030年に月面基地の建設を計画しています。人類が月で暮らす社会を形成することは、究極のSDGsの実現に他なりません。

今、月への輸送コストは1kgあたり1億円です。コップ一杯の水でも2000万円の計算になり、水の一滴も無駄にできません。尿のリサイクルも当たり前な超循環社会です。

月は地球と違い、空気がなく、食料もなく、寒暖の差が激しく、放射線に晒される過酷な環境です。私達は、今あたりまえのように、呼吸し、食し、地上の覇者のように振舞っていますが、地球を出た瞬間に全てを無くします。

人類が月で生きるために、私たちは科学技術の力を駆使します。しかしそれでも宇宙においては弱い存在である事に変わりないのです。

ロボットが切り拓く月面社会

月面探査車「YAOKI」は、過酷な月環境でも長期間活動可能な開発を進めています。YAOKIは、独特な球形の車輪により転んでも走行可能で悪路走破性に優れ、洞窟に落ちても壊れない頑堅性を持ち、多数機の連携が可能な特徴を持っています。

2021年は1機を月に送りますが、2022以降も機体数を増やして毎年月に送り、人類が月に着く頃には、多数のYAOKIで連携して群活動を行い、人類を迎える計画です。

月面都市の未来を考えてみましょう。私はこのようにイメージしています。生き生きと活動している多数のロボット社会に、弱くて少数の人類が参加するのです。地球では多数の人類を少数のロボットがサポートしていますが、過酷な月面環境では、それとは全く逆のバランスの社会が形成されるでしょう。そして、ロボットにはロボットの、人には人の欠かせない役割があり、お互いを良きパートナーとして認め合う、そんな持続的な共生社会が月で形成されることを目指しています。YAOKIはそのロボットの先陣として、月へ向かうのです。

YAOKIの更なる可能性

このようにYAOKIは過酷な月面開発で大きな役割を果たします。しかし、過酷な環境は月だけではありません。この地球にも人が踏み込みづらい危険な場所がたくさんあるのです。過酷な月面環境で長期間活動できるYAOKIは、地球上においても活躍が期待されています。

YAOKIのWhy:私たちはなぜYAOKIを開発するのか

私たちはなぜYAOKIを開発するのか。それは、私たち「人」を助け、「人」を豊かにするロボットを生み出したいという願いです。

Moisture to human:人に潤いを
YAOKIは私たちに、新たな資源をもたらすために進化していきます。

Creation to human:人は創造を
YAOKIは私たちの、より創造的な活動を促すために進化していきます。

Safety to human:人が安全に
YAOKIは私たちが、危険を回避するために進化していきます。

Relief to human:人の安心を
YAOKIは私たちが、安心して活動できるように進化していきます。

YAOKIのWhat:YAOKIには何ができるのか

YAOKIには何ができるのか。実は、月面探査以外にも多くの役割が待っています。ほんの一例ですが、YAOKIが今後担うであろう仕事を紹介します。

With human:人と共に
YAOKIは人のパートナーとして、行動を共にして役立つことができます。例えば、迷子の子供を発見し道案内をするような「迷子対応ロボット」、周囲の情報をキャッチして通知してくれる「情報ロボット」などです。

As human:人の代わりに
YAOKIは人の仕事を代替することもできます。例えば、集団で農地のメンテナンスを行うような「農地作業ロボット」、工場を見回り自動点検するような「工場点検ロボット」などです。

Save human:人を救済
YAOKIは人命救助にも役立ちます。例えば、数百数千の郡探査で被災地の状況を把握するような「被災地探知ロボット」、遭難者の捜索や異常検知ができる「山間探知ロボット」などがあります。

Can’t human:人が出来ないことを
YAOKIは人ができないことをやってのけます。例えば、「配管点検ロボット」は狭い配管の中まで入り込み、内部の映像を届けてくれます。「廃炉点検ロボット」は人間にとって危険な場所での調査を代替してくれます。

まとめ

「Project YAOKI」の果たす役割、可能性、そしてその意味について紹介させていただきました。

私たちは民間初の月面探査を実現します。

そして、私たちは人類の宇宙進出を加速させます。

私たちは、人を豊かにする「平和のシンボル」として、YAOKIを育てていくつもりです。